当院には、原因不明のめまいでお悩みの方が多く来院されます。
Mさんもめまいに、2年も悩んだ方でした。Mさんが来院されたのは、
当院に通っているMさんのお嫁さんが脳神経外科の看護師さんだったことです。
このお嫁さんが当院に腰痛で通われていた時にソ段されました。
「義理の母がめまいでどうしようもないんです」。
「一切の検査をしたのですが異常がなく、自律神経のマッサージを行うと効果があると聞きましたがどうでしょうか?」。
自分の勤めている病院に、めまいで悩む義母を連れて行ったのですが、何の異常もないという診断。めまいを止める薬も効果がなく、途中でやめてしまったそうです。しかし突然襲ってくるめまいにおびえる毎日の繰り返しでとてもつらい毎日を過ごしてたそうです。
私は、
「まずは一度来てもらいましょう!!」とお誘いしました。
すぐに来院してくれたのですが
来院した状況を見て、びっくりしました。当院の玄関からベットまで~約5メートルくらいなのですが、まるで酔っ払いのようにフラフラしながら倒れかけながら入ってきたのです。
「毎日こんな感じなのですか」
「最近はほぼ毎日です」。
義母・Mさんはパートで洋服を作るお仕事をしていました。とても元気で、釜飯が大好きで優しいおかあさんでした。
そんな普通の毎日に突然体がユラユラ揺れるようになるのがはじまりでした。最初は「疲れたのかな」くらいに感じていたそうです。気が付くと、朝、目が覚めると天井がぐるぐる回ってるそうです。そして突然、吐き出してとても苦しかったと。
めまいの症状で悩まれている方は、そんな辛い症状が突然襲ってくるのが怖い、と皆さんおっしゃいます。
めまいの施術では、頭のコリと背中のコリを緩和させることがとても大切です。
黄帝内経(世界でもっとも古い医学書)の按摩施術法の中に、めまいで悩む患者は「左の耳の上の髪の毛を煎じて服用」と書いてあります。めまいで悩む方はその部分がものすごく凝っています。リンパセラピーの重要な部分。
正しい方向に流すことで、
「頭が軽い!頭がすっきりした」
「耳なりが治った」。など
頭痛や頭部の不調が改善されるのです。
さらに人間の体は疲れの限界を超えると、背中が凝ります。
この背中の凝りは、不登校で悩む幼い児童から元気な高齢者まで、年齢に関係なく凝るのです。
Mさんの施術は、ビックリの連続でした。頭部を施術してみたら、頭がバスケットボールぐらい硬いのです。普通来院される方の頭部は、風船みたいな感覚の柔らかさで、所々にピンポイントで、凝りがある感じなのです。
背中も凝っていました。洋服を作る仕事なので、前屈みで目を集中して行うミシン作業だったので、その凝りは通常の肩こりなどの5倍ほどになっていました。
まずは固まった頭、首を入念にほぐしていきました。背中も温めながらほぐす施術を、週に1回程度行いました。
次第に、頭や背中は柔らかくなり、通常の肩こりくらいまでに回復しました。
Mさんが、久々に自分で車を運転してきました。
「大丈夫ですか」
「大丈夫よ!今週はめまいやふらつきが一回もなかったのよ!」。
笑顔で来院されたのです。
Mさんは、ほどなく仕事に復帰することが出来ました。
頭の凝りも柔らかくなり、肩や背中の凝りもほとんどなくなりました。
Mさんが言うには、私たちの
「大丈夫です!!少しづつでも良いから回復していきましょう!」
の言葉に物凄く元気をもらったと言ってくれました。
人は体がつらくなると早くいっぺんに治したいと思います。
しかしその思いが焦りとなり回復が遅れることが多いのです。
少しでいいのです。歩けなくなれば1歩明日は2歩と少しづつ
回復すれば必ず最後には思いもよらない復活になります。
私はこれが究極のリハビリだと思っています。
それから、一回一回の体操や入浴法などのアドバイスにすごく
効果があったと言ってくださいました。
患者さんが治るか、治らないかわかりません。
私たちが病を治す力もありません。
治す力は患者さんにあるとおもいます。
体をほぐしてあげると皆さん少し元気になります。
そして少し何かを始めます。そうやって少しづつ
良くなっていくのです。
私たちはこの方が絶対に100%治る!と日々願っています。
骨折したときギブスをして治します。ギブスは、すごいのでしょうか。
体を切ったら手術して切った箇所を縫って治します。糸がすごいのでしょうか。
私は、皆様の回復しようとする自然治癒力のほうが、すごいと思うのです。
そして、あくまでも私たちは、回復・健康のサポーターだと考えています。
プロの選手でも最初からすごい選手はいません。少しづつ成長して行くのです。
病気やけがの回復も同じだと、私は考えています、
Mさんは励ましの言葉とサポートを、しっかり受け止めて、見事にめまいが一切ない体になりました。
克服したと私は感じました。とってもうれしかったです。
その後は、元気でおしゃべりが大好きで、さらに声が大きいので施術中の会話が駐車場まで聞こえるくらいでした。
とにかく元気。
ある時、私がプライベートでソフトクリームを買いに並んでいました。
店員さんが、ソフトクリームを作ってくれているときです。
遠くから、
「せんせ~い!せんせ~い!せんせ~!」。
と大声。
「先生こんにちは!本当にめまいがなくて!」
「もううれしくてうれしくて!」
「私の、あのめまいはいったい何だったのですかね?」
本当に物凄く回復していて、その辺にいた御婦人の方よりも、はるかに元気でした。
話し出したMさんの会話は止まらず…右手に持つ不二家さんのソフトクリームが溶けていったのが少しかなしかったです。
Mさんはめまいに悩むことはなく1か月に1度くらいのケアをしています。
Mさんの紹介で、ご主人も来院されるようになりました。
「本当に妻を回復させていただきありがとうございました。もう介護がはじまるのかと思い本当に悩みました。これからは夫婦二人で健康第一でがんばります」
「でも、先生。あまり元気になるとうるさいので、ほどほどに元気にしてあげてください」。そう笑っていたのを思い出します。
Mさんがおいしいと話していた釜飯を、食べに行きました。本当においしい釜飯でした。このおいしい釜飯も元気でなければ食べられないのだなと感じました。
ひとりでも多くの人を回復できるよう!にと改めて、決意をしたのです。