2020年8月。おおむらさき整体院は10年目を迎えることが出来ました。本当に皆さまのおかげです。
この10年を改めて振り返ってみると、いろいろなことがありました。「東日本大震災」や「大雪」「台風による豪雨被害」などたくさんの大きな災難がありました。そしてその中で、人は物凄くストレスを感じて不調に苦しむのだな。。。と痛感しました。今まさに、世の中は新型コロナウィルスというある種の大きな災難によって、皆様が大きなストレスを抱えていると思います。
当院に来院される患者様も、この大変な中で必死に頑張っています。そのような患者様の体調を少しでも整えるお手伝いができるように!と私たちスタッフは頑張っています。
この10年を振り返ってみると、本当にたくさんの患者様に来院していただきました。その中でも1番印象に残っている人は?と先日聞かれました。この質問への回答は、少し悩みました。色々な人がこれまでに来てくださり、誰1人として同じ凝りの人はいなかったですし、それぞれの患者様にエピソードがあるからです。色々な職業の方ともお話させていただき、色々な職業の方のケアにも携わってきました。
そんな中で、あえて1番、印象に残っている方を挙げるとするなら。Tさんです。
Tさんは、小柄な70代の男性なのですがすごくたくましく、筋肉もりもりって感じなのです。カウンセリングの時「痛いところは何処ですか?」と質問すると、「ないよ~♪」と関西弁で笑いながら私をからかうのです。
「どこか悪いところはありませんか?」「あるっ。あたまや~」と私をからかいます。本当に面白い方だな〜と思っていたら、普段当院に娘さんと通われているTさんのご主人だったのです。
このTさん、とにかく元気。ほぼ毎日筋肉トレーニングはしているし、よく歩くし、地域のパトロールもしているし。本当に元気なお父さん。
Tさんは私に、「先生は、なぜここで整体しているの?」と何度か質問なさいました。「Tさん。私が今深刻に思っているのは、これから急激な高齢化社会で多くの方が老人になってしまうことなんです。それと多くの若者が原因不明の病で悩んでいることですよ。だから、この人たちを自分の持っている技術で治せるなら全力で頑張りたい!その気持ちなんです。だからここで整体院をやっているのです。」と、私は答えました
Tさんは、その話が好きでよく聞いていました。それと背中が痛いのはどう治すのかを毎回、欠かさずに聞くのです。
本人は痛くないのに。。。私は、Tさんの奥さんは背中が痛いことに悩まされていることに思い至りました。とにかくTさんは私に背中が痛いことに関わる話をされるので、私が原因は「ストレスですよ!」と答えるたびに「ストレスか。。。。あかんねぇ。。。。」と苦笑いをするのです。
「そうか奥さんが心配でおおむらさきを見に来てるんだな~」と感じました。
整体師がいて患者さんいて、、、ここにいない人の話をする。
なんか不思議な感じでしたが、物凄く愛を感じたひとときでした。
この埼玉の田舎町に関西なまりのTさん夫婦は物凄く苦労されたのか?と感じました。そんななか2人で歯を食いしばりながら頑張って来られたんだな?と想像しました。奥さんのことが心配で様子を見に来るご主人。なかなかいないですよ。そんな優しい方は。先日、このTさんが亡くなられたお話を聞きました。
私が思うに、奥さんと暮らす天国に先に行って、奥さんがくる前に天国の様子を見に行ったのかな?と感じました。
私は、以前、Tさんの事が不思議で質問したことがあるのです。体に痛みはなく、何か目標があるわけでもないのに、なぜそんなにも体を鍛えているのか?と。高齢になった方は自身の健康のために鍛え始める方が多いのに、健康に不安のなさそうなTさんが身体を鍛えることが、私にとっては不思議でした。
私はTさんに質問しました。
「なぜ、そんなに鍛えるのですか?」
Tさんは「それは家族のためや」と話されたのです。
いつまでも元気でいれば家族に心配をかけない!と話されたのです。
昭和・平成・令和と時代が変わる中、愛情とか良心とかが薄れる中、なんかすごく人間臭い愛を感じました。整体師の路を歩んで10年。こんな気持ちを話してくれたのはTさんのご主人だけでした。
私の仕事には、色々なドラマがあるのだ…と感じました。
Tさん。色んな話をしていただきありがとうございました。
心の底からTさんのご冥福をお祈りします。